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トップスピードで一塁ベースを回った勢いそのままに、脇谷は思いっ切り拳を突き上げた。右翼席最前列へ、打球が突き刺さった直後だった。オレンジ色のメガホンが、耳に痛いほど打ち鳴らされた。バンザイする観客も数え切れない。勝利へ、優勝へ、大きく近づく勝ち越し2ラン。「見逃し三振だけはしたくなかった。何でも振る気持ちでした」伏兵の思いが詰まった今季1号だった。
悪夢のボールを打ち砕いた。同点の6回1死三塁。フルカウントから、朝倉の内角直球をフルスイングした。これまで代打で見逃し三振するなど、インハイは苦手のコース。この中日3連戦では唯一、早出特打の「皆勤賞」で、内角球の対応能力を高めた。努力を重ねた分だけ打球は伸びた。値千金のプロ2号だった。
試合前は緊張で足が震えたという8番打者が、大一番で3安打3打点の大仕事をやってのけた。大舞台で強い。自己暗示をかけて打席に入り、結果を出した。「(早大の斎藤)佑ちゃんじゃないけど、俺も何か持ってるな、と思いました」試合後は破顔一笑でおどけた。原監督は「本当に見事。今日は完ぺきです。満点でした」と絶賛の嵐だった。
初回に先発・高橋尚が4点を奪われる重苦しいムードの中、3回1死満塁から、谷が右前に2点タイムリーで反撃のノロシを上げた。「シーズンで一番大事な試合。燃えていた。このままでは絶対に終われないという気持ちで打席に入った」2番に再び定着してから6試合で3割6分4厘の高打率。安打製造機が完全によみがえり、13安打8点の口火を切った。
勝った方が優勝―。そんな空気で迎えた事実上の「決勝戦」。決戦を前に、原監督は独特の空気を肌で感じていた。「こういうゲームをやるために、去年の秋からスタートした。そんな待ちに待った試合だった。その中で、バッターが集中力を切らさずにつないでくれた」ひと呼吸置き、脇谷、谷、李承ヨプ、高橋由、野間口、上原と、殊勲者の名前を次々に挙げた。試合前には「地に足をつけ、一つになって戦っていこう」とナインを鼓舞した。4点差をはね返したのは、指揮官の言葉通り、逆境に慌てず、投打の歯車が一つにかみ合った結果だった。
最後の天王山を2勝1敗で勝ち越し、5年ぶりの優勝がくっきりと見えてきた。5日間試合がなく、最短で30日にゴールにたどりつくが、原監督は「そのことは全く考えていない。(10月の)2試合に選手をいいコンディションで送り出すことを考える。その一点です」とあくまで前を見据えた。今季最多、4人のヒーローが上がったお立ち台では、脇谷が絶叫した。「優勝しま~す!」大ピンチからはい上がったミラクル逆転劇で、悲願の「奪回」が目前に迫った。
巨人・原監督「待ちに待ったというか、地に足をつけて戦ってくれた。我々はこういうゲームをやるために去年の秋からスタートしてるわけだから。脇谷は思い切りの良さが出た。すべてにおいて満点では。残り2試合? 今日と同じように、全力で戦っていきたい」
参照元:スポーツ報知