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◆北京五輪予選兼野球アジア選手権第3戦 台湾2―10日本(3日、台中・洲際野球場) 星野監督が台湾の夜空に3度舞った。北京五輪切符をかけたアジア予選の台湾戦は初回に新井の左前適時打で先制したものの、6回に先発のダルビッシュが逆転2ランを浴びる苦しい展開。しかし直後の7回、打線がつながり打者12人の猛攻で一挙6点の大逆転。8回からは藤川、上原の球児―浩治リレーで締めくくった。ナインに胴上げされ、歓喜の涙で目を潤ませた星野監督。来年8月、金メダル獲得に向けた新たな戦いがスタートする。
声にならない叫びだった。潘武雄の打球をキャッチした川崎が二塁を踏み、一塁へ。併殺が決まると、星野監督が我を忘れたかのように雄たけびを上げた。田淵ヘッド、山本、大野両コーチと固い握手を交わすと、一塁ベンチを出た。目が潤み、選手の姿がぼやけてきた。歓喜の輪に加わると、24人の日の丸戦士に押し出されるように台湾の夜空に3度舞った。「日本の野球の底力を選手が見せてくれた。選手が頼もしかった。本当に…」泣いた。闘将が泣いた。一気の3連勝。五輪出場権を手にした感激で声が震えた。
これが星野野球の真骨頂だ。王手をかけた台湾戦。投打で“らしさ”を発揮した。陳金鋒の一発で逆転を許した直後の7回。指揮官が掲げた「超スモールベースボール」がさく裂。5単打に大村のスクイズを絡め、6点を奪った。「次から次へといい形ができた。スクイズはひらめきや」怒とうの攻撃で逆転するとダルビッシュをもう1イニングだけ投げさせ、藤川から上原へ。鉄壁のリレーで台湾の戦闘意欲をつみ取った。
宮崎合宿中には「そろそろ死刑台が近づいてきたな」とポツリ漏らした。本番が近づくにつれ、増してきた「日の丸」の重みで押しつぶされそうになった。極めつけは前夜の韓国戦だった。「逃げ出したかった。監督をやりたくないと思った。(敗れて)来年3月になったらどうしようかと思っていた」極限まで追いつめられた闘将を救ったのが、先発で起用した涌井、成瀬、ダルビッシュという3人の「若い力」だった。
川上や渡辺俊を先発で起用する意見もあったが、最後は自ら決断。チーム宿舎の監督室に3人を呼び、強い口調で切り出した。「涌井、お前は切り込み隊長。成瀬は2戦目。ダルビッシュはオレを胴上げする試合や」若い3人にすべてを託したのは、来年の北京五輪を見据えてのもの。2012年のロンドン五輪で野球が競技種目から除外されても、球界を背負う存在に変わりない。そのことは指揮官が一番知っていた。
「何百試合、何千試合と戦ってきたけど、韓国戦のような試合は初めて。今回は3試合だけど、5試合やったら死んでるわ」中日と阪神で3度の優勝。通算919勝(789敗33分)を挙げた名将でも経験がなかった3番勝負だった。そのすべてに勝ち、来年は北京五輪で、最初で最後の金メダル取りに挑む。「胴上げはまだまだ。北京じゃないと。またイバラの道が始まるな」安心は一瞬だけ。ひとつの山場を越えた星野監督が、全身全霊を傾け、来夏に北京へ乗り込む。
日本代表・星野仙一監督「金メダル? 選手のメンバーが来年もけがなく成績を残せればね。終わってみれば、みんな当たり前に(結果を)受け(止め)るだろうけれど、昨日はこんな底力があるのかと思うくらい(投手陣が)いい投球してくれたから。日本にいる皆さんをハラハラドキドキさせてしまったけど、感動してくれたかな」
参照元:スポーツ報知