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怪物が最後も泣いた。日本ハムの高校生1巡目ルーキー・中田翔内野手(18)=大阪桐蔭=が26日、大阪・大東市内で行われた同高の卒業式に出席した。式の最後に感極まり、人目をはばからず号泣。昨夏の府大会決勝で敗退した時以来の涙で、高校生活を締めくくった。また、この日はスタッフ会議が行われ、中田の2月の沖縄・名護キャンプでの1軍スタートが正式決定した。
「卒業生退場」のアナウンスに合わせ、吹奏楽部が演奏する、美空ひばりの「川の流れのように」が流れると、中田の涙腺は決壊した。「もうここには戻って来ないな、本当に終わるんだなと思ったら…」巨体を振るわせ、黒く焼けた顔に大粒の涙が光った。
「はじめから悲しくなると予想はできていた」あえて明るく振る舞い、クラスメートにも笑顔で接した。だが、式が進行し、仲間との別れが頭をよぎった時、感情の波が押し寄せた。「試合以外では泣いたことがない」という怪物が、最後は何度も目元を制服の袖でぬぐい、鼻をすすった。
激動の高校3年間だった。実力が飛び抜けた中学時代は球を投げても捕手がとれず、打席に立てば常に敬遠。野球の面白さが薄れていく中、3年前に大阪桐蔭に入学すると、辻内(巨人)、平田(中日)と投打の両輪に出会った。「こんなすごい人がいるんなら、自分はもっとやらなあかん」怪物が本気になった。
2年春に右ひじを故障。経験したことがない激痛に、「もう、野球ができなくなるのでは」と当時は絶望に暮れた。それでも、母・香織さん(44)や仲間の励ましもあって復活。卒業式では、3度の甲子園出場、史上最多と言われる高校通算87本塁打などが評価され、卒業生578人の中でただ一人「桐蔭特別栄誉賞」を受賞した。
学生生活は終わった。卒業式が終わると、中田は同級生から次々と激励の握手を求められ、校内では3度、胴上げされた。「きょうでプロとして気持ちを切り替えないといけない。『あいつ、プロでもやりよったな』と言われるように頑張りたい」と決意を新たにした。一つの区切りをつけた怪物の目に、もう涙はなかった。
参照元:スポーツ報知