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1球投げるたびに、球児の雄たけびが響いた。1点差に詰め寄られ、なおも10回2死一、二塁のピンチ。カウント2―0から、外角に構えた矢野のミットをめがけて、思いっきり腕をしならせた。150キロの速球に二岡のバットが空を切り、ゲームセット。「おもしろかったよ!」10連投の疲れも見せず、笑顔の花が咲いた。
試合後の表情とは裏腹に、苦しい1イニングだった。2点リードの2死二塁から、小笠原に左前適時打を浴び、1点差。「しんどかった、今日は。(1点取られていいとは)思ってないよ。打たれたら悔しいよ」4番に座る韓国の大砲を迎えたところで、気持ちの高ぶりは最高潮に達した。
カウント1―0からの出来事だった。2球目を投げようと振りかぶった瞬間、李承ヨプが左手を挙げ、タイムを要求した。ひと呼吸あって、笠原球審がタイムを取った。集中力をそがれた藤川は、怒りを隠せず、ボールを本塁方向に向かって投げつけた。「審判が勝手に止めたと思った。打者の判断なら、すいませんと書いておいて下さい」勘違いから生まれた行動だったが、みなぎる闘争心が前面にあふれ出ていた。
結局、李は四球で歩かせたものの、二岡を仕留め1点差を守り切った。1975年の山本和(阪神)、83年の久保(大洋)以来のセ・リーグ記録となる10連投で今季40セーブ目。その間に、2勝7セーブと獅子奮迅の働きを見せた。82年以来、25年ぶりの10連勝は、絶対的なストッパーの存在なしには語れない。
「下半身は疲れているけど、元気なのは元気。一番うれしいのは、投げている時に『見ている人がうれしいやろな』と思えたこと」と、緊迫感あふれる伝統の一戦を振り返った守護神。チームが積み重ねた10個の白星が、疲労の2文字を忘れさせてくれた。
参照元:スポーツ報知