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◆ロイヤルズ1―6ヤンキース(10日・カンザスシティー)【カンザスシティー(米ミズーリ州)10日】ロイヤルズ・野茂英雄投手(39)が1000日ぶりにメジャーのマウンドに帰ってきた。ヤンキース戦に7回から2番手として登板。3回を投げ、4安打2失点の内容だったが、伝家の宝刀、フォークボールで松井秀喜外野手(33)からは三振を奪うなど、2度の対戦でいずれも打ち取った。日本人メジャー最年長出場記録を更新する39歳7か月で復帰した右腕に、地元のファンからも温かい声援が送られた。
2本の指に自然と力がこめられる。「意識はしていない」とうそぶいても、球筋を見れば一目りょう然だ。9回2死。カウント2―1。野茂は松井に対して、人さし指と中指でしっかり挟んだこん身のフォークを投げ込んだ。この日の65球目は、ベースの前でワンバウンドするボール球。だが、松井のバットは空を切った。左ひざが地面につきそうなくらい大きく体勢を崩したスイングに、落差の大きさが表れていた。
あれから、ちょうど1000日が過ぎていた。デビルレイズ(現レイズ)に所属していた2005年7月15日以来のメジャー復帰戦は、3点ビハインド、中継ぎでの登板だった。7回。「HIDEO NOMO」の場内アナウンスと大歓声に押され、右翼のブルペンから小走りでマウンドへ。「早くマウンドにあがりたかった」とクールな男が少しだけ熱くなった。
日本人大リーガーのパイオニアとゴジラの対戦は2度、実現した。これまでの対戦成績は10打数5安打1本塁打と松井の圧勝だった。7回2死満塁で迎えた最初の打席。松井に「ストレートのスピードは(以前から)落ちている気はしない。むしろ伸びてきていた」と言わせた直球で追い込むと、最後はフォークで左飛。2打席目ではこの試合で唯一の三振を奪い取り、対決を制した。
だが、3イニング無失点まであと1人と迫った9回2死。Aロッドとポサダに連続アーチを食った。それでもヒルマン監督は「フォークは3球に1球は甘く入ってしまう球種。2本打たれたが自信を失わず、今日のような投球を続けてほしい」と背番号91をねぎらった。
すべてはこの日を迎えるためだった。06年に右ひじを手術。手術前は、痛みから右手で500ミリリットルのペットボトルすら持つことができない自分に不安といらだちを覚えた。必死のリハビリから昨オフにはベネズエラのウインターリーグに参加。メジャー復帰の道を模索した。39歳7か月でのメジャー出場は、今季復活したジャイアンツ・藪を超える日本人では最年長記録となった。
大リーグでの過去11シーズンで中継ぎ登板はわずか2度。152試合連続で先発していた記録が途絶えたが、「毎日、投げられるから」とむしろ楽しんでいる。セットポジションから投げる右腕の、この日の最速は140キロだった。
トルネード投法の面影がほとんど消えた新フォームには、かつての迫力はない。だが、野茂には制球力と経験がある。マウンドで燃え尽きるまで、野茂の挑戦は終わらない。
参照元:スポーツ報知