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ナインの思い、ファンの夢が、その打球に込められていた。「みんなが打たせてくれました」キャプテン・阿部のバットが火を噴いた。4回、敵失で1点を勝ち越し、なおも無死二、三塁。山本昌の内角直球を、ライナーでオレンジ色の右中間席にたたき込んだ。
リードを4点に広げる2戦連発33号3ランで101打点となった。捕手で30発&100打点はセ・リーグでは初の快挙だ。まさに貫録の一撃。ダメ押し弾と言っていい。それでも、ダイヤモンドを回る阿部にガッツポーズはない。笑顔もない。「まだセーフティーリードじゃない」この試合だけは絶対に油断もスキも見せたくなかった。
理由がある。前夜(24日)の試合。足の速くないウッズに二盗を決められるなどいいところがなかった。ゲームの主導権を奪えないまま、初戦を落とした。責任を痛感した。この日も、3回の守備を終えてベンチに戻ると、珍しく原監督からしっ責を受けた。指揮官のカツを受け止め内海、上原を懸命にリードした。
9回の守備では左足の薬指がつっていた。ボールを上原へ返すたびに歯を食いしばった。試合後の「疲れてるんですよ。井端さんが(24日のヒーローインタビューで)3倍疲れたって言ってたけど、僕は4倍疲れてます」は、勝てたからこそ漏らせる本音だった。
試合直前、ベンチ前で円陣を組み、阿部がナインを鼓舞する。「みんながリラックス出来る言葉を(前夜の)寝る前に考えるんですよ」絶対落とせない試合を前に、この日はあえて厳しいセリフを口にした。
「個々で、悔いのないように。心に思っていることがあると思うんで、それを出しましょうよ」
年上が多いので、丁寧な口調だったが、聞いていただれもが胸を熱くした。
その思いを最初にぶつけたのは、小笠原だ。初回、高めに来た初球の変化球を、全身をねじ曲げるようにしてはじき返した。右翼席で弾む8試合ぶりの31号ソロ。試合後は「もう振り向かない。下向かない。前向いてやるだけ!」と必勝を誓って引き揚げた。
選手会長の高橋由も続いた。5回、山本昌から代わった久本の直球をバックスクリーン右に打ち込んだ。一塁を全力で蹴ると「行けえ!」と雄たけびを上げた。99年に並ぶ自己最多タイの34号ソロ。8回には二岡が得意の右打ち。2年連続となる20号ソロでトドメを刺した。計4発、7点を奪い快勝。巨人の誇るスラッガーたちが、持てる技術に気迫も加えたアーチで、落合竜を黙らせた。
「今年最初からチームを引っ張ってくれたメンバーが、それぞれすべて貴重な一打を打ってくれた。チームは彼らが支えてきた。すばらしい」とたたえた指揮官にとっても、監督通算300勝の節目の白星となった。さあ、これで天王山決戦は1勝1敗。首位に1日で返り咲いた。26日は天下分け目の戦いになる。V奪回を誓った原巨人の07年シーズン。優勝の行方を左右するクライマックスがやってきた。
巨人・原監督「きょうは絶対に負けられなかった。そういう中で、チームを引っ張ってきた4人が貴重な一打(本塁打)を打った。内海も大一番であそこまで投げ抜いてくれた。きょう勝ったことであすの価値が大きくなる。(監督通算300勝は)チーム、選手、スタッフすべての力だと思っています」
参照元:スポーツ報知