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バリー・ボンズ外野手(43)だけでなく、現役最多の通算354勝のロジャー・クレメンス投手(45)まで薬物に汚染されていた。409ページに及ぶミッチェル・リポートのリストに掲載された計88選手には、MVP受賞者8人、オールスター戦出場34人の超豪華メンバーが名を連ねた。米メディアのほとんどがトップニュース扱いした“事件”は、米大リーグではWソックスの8選手による八百長事件(1919年)以来の大スキャンダルに発展するかもしれない。
生々しい記述だった。ミッチェル・リポートに書かれたクレメンスの薬物使用の実態は、大きな衝撃を与えるに十分過ぎる内容だった。
「98年夏、自ら持参したブルージェイズのマクナミー・トレーニングコーチから筋肉増強剤(ステロイド)の注射を受け、ヤンキース移籍後、同コーチも一緒にチームへ移り、その注射は01年8月まで続いた。また、00年のヒト成長ホルモン注射は、ステロイドでの臀(でん)部と違う場所だった」
通算354勝の右腕は、今オフに「来年の北京五輪の野球に出場したい」としていたが、世界アンチドーピング機構(WADA)の規定はメジャーより厳しいため絶望的。また、03年まで罰則がなかったとしても、確実視されていた殿堂入りが遠のいてきた。
クレメンスだけではない。調査に約1年8か月もかけたリポートに掲載された88選手には、MVPを経験した大物がズラリとそろった。03年の大陪審で積極的な薬物摂取を否定して偽証罪に問われているボンズをはじめ、ジオンビー兄(ヤンキース)、オリオールズからアストロズに移籍したばかりのテハダが名を連ねた。さらに、通算480本塁打のシェフィールド、201勝左腕のペティット、03年サイ・ヤング賞右腕のガンエーも、薬物使用の実態があらわになった。
また、引退した選手でも自ら告白していたカンセコ、カミニティだけでなく、98年に70ホーマーしたマグワイア、通算434本塁打のゴンザレスなど90年代半ばのスター選手が勢ぞろい。リポートでは彼らの行状が克明に綴(つづ)られていた。
前コミッショナーのフェイ・ビンセント氏は「大リーグにとって薬物汚染は、ブラックソックス事件以来の深刻な問題」と指摘。88年前の八百長事件では通算打率3割5分6厘のJ・ジャクソン外野手ら8人のスター選手が永久追放となった。今回も全米を揺るがすスキャンダルに発展しそうだ。
クレメンスの代理人は、本人がリポートを強く否定とメディアに伝えるとともに、「(当時罰則規定がなかっただけに)クレメンスは処罰されることはない。だが、今回のような手法は公平ではない。彼のイメージをどうしてくれる」と憤慨のコメントを伝えた。しかし、キャリアの晩年を迎えて息の長いプレーを続けるため、クレメンスがボンズ同様に薬物に頼ったという非難からは逃れられそうにない。
ジョージ・ミッチェル氏(元上院議員)「コミッショナー、球団幹部、選手会、そして選手。野球にかかわるすべての人間に責任がある。問題が表面化した際、球界全体が重大さを理解せず、対処の仕方を誤った」
◆ミッチェル・リポート 米大リーグが元上院議員のジョージ・ミッチェル氏を責任者として、過去の薬物使用の実態を調べた報告書。ジャイアンツのボンズ外野手が筋肉増強剤を使用したとされる本が出版されるなど、薬物疑惑が高まった06年3月、調査を開始した。強制捜査権がなく、調査の遅れが指摘されていたが、薬物使用を認めたヤンキースのジオンビーや、禁止薬物を選手らに売ったと認めたメッツの元クラブハウス職員から聴取を実施した。
◆BALCO(バルコ)社 1984年に設立された米カリフォルニア州にある栄養補助食品会社。様々なジャンルのアスリートに禁止薬物を提供し、問題になった。創始者のV・コンテ氏はテレビのインタビューで女子陸上短距離のM・ジョーンズが成長ホルモンを注射している場面を目撃したと証言した。
参照元:スポーツ報知