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言葉が出てこなかった。門倉は、お立ち台でこみ上げる涙を抑えきれなかった。「本当に苦しくて。うれしいです。みんなに感謝です」待ちに待った、巨人移籍初勝利。喜びと同時に、苦しかった日々が頭の中を駆け巡った。
この時を待ちこがれていた。4か月ぶりの先発で、6回を3安打1失点。1回2死からシーツに一発を浴びたが、その後はスライダーを低めに散らし、阪神打線に的を絞らせなかった。「本当に必死でした。感謝です。これ以上の言葉を出したいけど、見あたりません」4度目の先発でようやく手にした1勝に、何度も頭を下げた。
巨人にあこがれ、移籍を決意したが、結果が出ず5月1日に2軍落ち。腰痛もあったが、「ここで腐ったら終わり」と思い直した。ジャイアンツ球場で2軍全体練習が行われると、右翼フェンスに両腕と長いあごを乗せて、目の前のブルペンにくぎ付けになった。そこには久保をはじめ、鈴木誠ら育成選手もいた。「この世界に入ってくる人は必ず何かいいものを持っている。せっかくの機会だから盗まないと」と、5分以上も「特等席」に陣取ることもあった。
ビデオで上原のフォームを研究し、取り入れた。2軍選手たちと同様に自分も試行錯誤した。開幕時、マウンドのプレートの最も一塁寄りに立っていたが、逆の三塁寄りに変えた。この試合前まで、左打者に31打数10安打、被打率3割2分3厘と苦戦を強いられていた。立つ位置を三塁寄りに変え、左打者にクロスファイア気味に内角に食い込むボールを投げたかった。
若手からは慕われた。ジャイアンツ球場に練習に来た高橋尚から「早く戻ってきてね」と置き手紙をもらった。この日の試合前には、原監督が、監督室に呼び「一緒に戦おう。俺も戦うし、応援する」と激励した。「FAで相思相愛で来て、原点を思い出せというつもりで(監督室に)呼んだ。1点取られてからは彼本来の投球ができた」と指揮官も2軍での苦労をねぎらった。独りではない。そう思えたから頑張れた。
阪神、中日との6連戦初戦を取り、今季2度目の6連勝。「チームの中で、一球一打に対する集中力がある。いいスタートが切れた」と指揮官も一丸野球に拍手を送った。お立ち台の最後には、横浜時代の恒例だった、アントニオ猪木の「イチ、ニ、サン、ダー!」もやっとできた。「本当に1勝目、遅れました。これから頑張ります」優勝へ突き進む原巨人に、また大きな武器が加わった。
巨人・原監督「門倉は1点取られてからは彼本来のピッチングができた。試合前に監督室に呼んで『一緒に戦おう』と言った。シンノスケは効果的な3ランだった。(6連勝?)チームに一球、一打の集中力が出ている。6連戦のいいスタートが切れました」
参照元:スポーツ報知